森下 靖×森下幸次

経営者と船頭
兄弟本音対談

選んだ道で腹をくくり結果を出す。
経営者と船頭、森下兄弟の本音対談

土佐名物・鰹の藁焼きたたきをはじめ、山・海・川の豊かな恵みを素材とした料理を提供している明神食品グループ。

そんな明神食品を率いるのは、漁師や「明神丸」第1号店の店長などを経験してきた代表取締役社長 森下 幸次氏。そして、今回の対談相手は幸次の弟、森下 靖氏。全国近海鰹一本釣り漁船漁獲高にて、2018年度日本一の座を獲得した「第123佐賀明神丸」の船頭を務めている。

経営者と船頭。二人とも漁師を経てそれぞれ歩んできた道の過程で、どんなドラマがあったのか。兄弟の生き様を対談形式で存分に語り合う。

幸次:

2018年度の漁獲高でトップになった。来年に向けてプレッシャーはある?

靖:

最高の結果が出たね。子供が漁師として一緒に船に乗ったタイミングだったからなおさら嬉しい。俺もやるときはやるんだよ。ただ、来年も1位にならないといけないというプレッシャーはない。今まで同じ会社の明神 学武が2013〜2017年まで連続王者だったので、勝てたのは嬉しいけど、敵は外ではなく自分自身。だから、周りを気にせず、これからもやれることをやるだけだと思っている。

幸次:

靖は昔から船さえあれば釣るし、稼ぐよね。

靖:

10年で4隻違う船に乗った漁師はあまりいないと思うし、どんな船だろうと最高の結果を出すことにはいつもこだわっている。

幸次:

でも、稼ぐことにハングリーかと言えば違うよな。

靖:

そう、純粋に一番になりたいって気持ちでやっている。それは、明神家のじいちゃんばあちゃんの影響を受けたからかな。

幸次:

おばあちゃんの経営哲学はいろいろあったな。「苦労はこうて(買って)でもしろ」「儲けるだけではだめ、税金を払うことを幸せに思え」など覚えている言葉がたくさんある。

靖:

だから1回でも日本一になれたのは、今までの愚直に努力したり、味わってきた苦労が実った結果だとも思っている。

幸次:

それこそ、俺ともいろいろ語ったよな。

靖:

最初に船に乗ることになったときは「漁師は辞めた方がいい」と言ってきたし、何もない状態から船頭のトップを目指すと言ったときも「1年で結果を出せ」と無理難題を出してきた。兄貴じゃなければ、なんだこいつはめちゃくちゃ言うなと思っていたかもな(笑)

幸次:

俺は17歳で漁師の世界に入り、すぐに想像以上に厳しい世界だという現実を突きつけられた。一度漁に出ると、数ヶ月は海の上での暮らし。日が昇るとともに1日がはじまり、日が沈むまでずっと仕事だったから。
12年間にわたりレベルの高い環境で修行してきた中で、最後の4年間はおまえと一緒に仕事をした。
体格もいいし、リーダーシップもある靖を見ていて、この世界に向いていると思ってたよ。

靖:

「弟が入ってきたから、兄は今では経営者の道へ」って美談になっているところもあるけど(笑)その結果、今でもお互い支え合っているし、漁に出ていないときは朝まで酒飲んで語り合ってるよな。

TOP